2015/08/08

2015年 台湾ゼミ旅行 〜台中メトロポリタンオペラハウス〜

2日目は新幹線で台中に移動し、はじめに伊東豊雄さん設計の台中メトロポリタンオペラハウスを見学しました。残念ながら内部写真は記載することができませんので、私の拙い文章のみでレポートさせていただきます。



実際に伊東事務所の方々に内部を案内していただき、大変貴重な機会でした。




一階エントランスホールは白を基調とした海底のような空間。外部から浸食されたかのようでもあります。
照明が白い曲面に反射する淡いオレンジ色の光は、海底に差し込む太陽の光のように神秘的で、立ち止まって見上げてしまうほど素敵です。また、青や赤に塗られた壁に光が反射して周辺の白に薄らと色をつける様子が印象的で、形状も色彩も変化に富む、シークエンス豊かな空間でした。
歩くより、潜って泳ぎたいな、と思いました。

階段を上がると、赤い絨毯と三次元曲面で構成される壁、天井が圧巻のホワイエです。横広がりで海底のようだった一階に比べると、縦に伸びる二階は森のようです。
無数にある開口から差し込む外光が木漏れ日のようにキラキラしていて、非常にエネルギッシュな空間でした。自然と背筋が伸びるような気がしました。
また、壁と床がなだらかにつながることで、腰をかけたり、寄りかかったりできる実験的な空間です。非日常なホワイエが劇場の世界観への導入になっているようでした。


劇場も見学させていただきました。大、中、小の3つのオペラ劇場があるのですが、今回私たちが見学したのは一番大きな劇場です。波打つ砂漠のような天井が印象的な、赤を基調とした劇場で、どの席からも鑑賞しやすそうでした。


この建築は全体が垂直・水平方向につながった二組のチューブで構成され、この二組のチューブが互い違いになりながら連続しており、各層がチューブの連続体になっています。コンセプトは「人間の身体をイメージした、内と外がつながった建築」とのことです。
構造体となっているチューブの中身こそが建築の内部で、チューブによって構成される空間はまだ外部なのではないか?そもそも建築の内部とは?と考えさせられました。


テラスからの景色は周辺の高層ビルを傍目に見るようで、いかにこの建築が有機的であるかを実感しました。丸く開かれたテラスからは周辺の都市が近未来的に映り、これから発展し続けるであろうこの都市を見守り讃えているかのようでした。


所々に取り付けられている消防用のスプリンクラーは、災害時に水のシャッターになります。これは今回台湾で初めて採用され、この他にもいくつも新しい試みが成されたようです。


また、周辺のランドスケープも大変魅力的でした。
街から噴水や池のある広場を通り、一階エントランスホールへ緩やかにつながります。





これからオープンし実際に使われる様子がとても楽しみです。いつか必ず利用者として訪れたいです。学部4年松本(愛)

台湾ゼミ旅行 〜台北舞台芸術センター〜


ゼミ旅行初日。目的の台北市立図書館北投分館へと向う途中に建設中の劇場施設があるとの情報を知り、立ち寄りました。

この建物はOMAが設計したもので、2009年のコンペで選ばれました。

3つの劇場空間を持ち、複数のシアターを連結して使用し、新しい劇場の可能性を引き出す実験性の盛り込まれた建物。

建物から飛び出している巨大な半球が特徴的です。この街のシンボルになりそうな建物です。


イメージパース

              


実際に訪れてみましたが....










まだまだ工事中で実際の建築の様子が感じられるものではありませんでした。

実際の建築の規模感は自分が想像していたイメージよりもさらに大きな建物でした。街中にこれだけ大きな建物が突然現れる光景は実際にどんなものなのだろうか。またこの建物が完成することによりこの街の風景はどう変わっていくのかとても気になりました。
数年後また台湾に訪れる機会があったら是非完成した建物、街の様子を拝見してみたいです。学部4年 知久 倫大



           「設計:OMA」



台湾ゼミ旅行 〜東海大学チャペル〜

ゼミ旅行二日目は台中へ。
I.M.ペイ設計の東海大学チャペルを見学しました。

東海大学は、キリスト教系の私立大学です。
牧場が併設されており、広大なキャンパスで知られています。

チャペルは芝生広場の中心に建てられており、周りでは記念撮影をする人や座り込んでくつろぐ人が多くいました。大学のシンボルとなっていることが伺えます。


東海大学の張先生に説明して頂きました。



東に入口、西に祭壇があり、ガラスの窓と天井が一列に並んでいます。
教会の外壁は、4つに分かれた二組の優美な曲面から構成されていて、屋根、壁と梁とが一体化し、軽やかに流れる姿をみせます。柱が一本もないHPシェル構造です。

屋根の部分は接合されていません。「一線天(空がひとつの線でしか見えない景観)」という意味があり、上に向かって伸びる格子状の梁とも合って、窓からの光は神秘的な印象を与えていました。






祭壇の裏の階段を降りるとあるバックヤードも見せていただけました。
そこから外へつながる階段があり、入口の裏へ出ることができます。






外壁の黄土色をした菱形のタイルをよくみると、中心に突起があるのがわかります。
この突起を目印にタイルを並べていったそうです。タイルの大きさひとつひとつは均一化されていないので、そういった配置の仕方をしたということです。






地まで続くチャペルの屋根や、内部の菱形の大きさの変化から、地から昇華される空間のうごきや力強さを感じました。
「天に向かう」というイメージはまさにこれで、実際の礼拝の様子もみてみたいと思いました。学部四年 鹿又


2015/08/07

2015年 台湾ゼミ旅行 〜松山文創園区〜

 ゼミ旅行3日目。タバコ工場のリノベーションにより生まれた松山文創園区を訪れました。歴史的建造物としての特色を残しながら、新しい芸術や文化における様々な物を発信することを目的とした建物です。

台北文創ビル

 まず、大通りから松山文創園区へと向かうと、伊東豊雄さん設計の台北文創ビルが出迎えてくれます。建物の彩りに目を取られ、大きさに圧倒され、とても存在感があります。

タバコ工場

台北文創ビルを通り抜けると元タバコ工場が出迎えてくれます。
この工場は1937年に設立され台湾初の近代化された巻きタバコ工場として作られました。1998年にタバコの需要の減少などにより生産停止となりますが、歴史的価値が市に認められ、市指定旧跡に指定。2011年に松山文創園区として対外開放されました。

おおまかな全体の見取り図。中央の建物がタバコ工場。右上に台北文創ビル。

タバコ工場は、おおまかに東西南北にわかれていて、西側は「台湾デザイン館」となっています。中央にバロック庭園があり、広い中庭となっています。タバコ工場とは別の棟である、当時の託児所や機械修理工場も改修され、別の施設として使われています。
  タバコ工場内の古本屋さん

 中は壁のない、奥までひたすら続く古本屋がありました。
 この古本屋として利用されている空間は、タバコの葉を処理し、巻きタバコへ仕上げ、梱包する場所だったそうです。そのため、特殊な間仕切りのない空間が作られ、今に生かされています。 松山文創園区のお土産屋さん。とってもおしゃれ。

窓から覗いた中庭。

  
中庭から見える伊東豊雄さんの設計の建築物。いまのところ建設自体が止まってしまっているようです …

 松山文創園区を訪れた自分の感想としては、今の芸術や文化を昔の文化を体現した建物で行いランドマークにする。という試み、考え方に刺激を受けました。日本でも似た物として赤レンガ倉庫があげられると思います。ですが、松山文創園区のほうがランドマーク的要素や、モノを発信していくという力は強いのかな、という印象でした。

 …実は学部男性陣はみな、お土産屋さんに気をとられ、タバコ工場を回りきれませんでした…昼食も慌てて買う始末… もし次訪れる機会があるのなら悔いの残らない見学にしたいな、と思います。以上、学部4年友田でした。

2015/08/02

台湾ゼミ旅行 ~国立台湾大学社会科学部棟~


ゼミ旅行最終日の三日目に伊東豊雄さん設計の台湾大学社会科学部棟を見学した。
台湾大学の既存の校舎が手狭となったため、キャンパス内の芝生広場に新たに社会科学部棟が建設されることになり、伊東豊雄事務所が設計を行った。
図書館外観
この建築は二棟に分かれており、八層の教室、研究室、会議室を中心とした棟と低層の図書館棟である。
中央:高層棟 右下:図書館棟
高層棟はグリッド構造を基礎とし、大きな吹き抜けやボイドを使って開放的な場所がつくられていた。武蔵美の八号館が巨大になりヴォイドが増えたような印象を個人的に感じた。
高層階からのヴォイド


次に、一階で接続している、この建築のシンボルとなる図書館棟である。規則的なフラクタル図形のような「静的」なデザインではなく、植物が場所を選んで生えてくるような「動的」なデザインとすべく、ヒマワリの種の並びのような植物の成長アルゴリズムである、逆方向スパイラルが採用されているとのこと。
スパイラスによりきめられた疎と密による本棚の配置
              
図書館内部
図書館内部
夏休みということもあり、利用している学生が少なく実際にどのように使われているのか見るとこが出来ず残念である。スパイラルを連結すると、柱が密にある場所が三つでき、疎と密になっているところができ、場所の違いがうまれる。柱と屋根が一体となった構造体が寄り添い、大小の屋根が連なる。柱が密の場所では小さな屋根が連なり、スパイラルの中心から離れると大きな屋根になっていく。わずかな滞在時間ではあったが実際に行くと、柱の疎密や屋根の大小を確認することはできたが、本棚によって人の動きや居場所が決まっているように感じた。屋根のレベルを変えたりするとそれによる居場所感がでやすいのかもしれないが、デザイン的に恰好が悪いかもしれない。
視覚的には広い平面だが、柱の疎密などで、まさに動的は印象をうけ興味深い空間であった。


竹でできたチェア

竹でできた本棚の断面 とてもなめらか

竹でできた椅子

空調には、床下に冷水を流してその輻射熱で室内を穏やかに冷やす輻射冷房が採用されている。この規模での利用は台湾初だそう。
ダクトを天井に這わせることを避けるだけでなく、省エネ効果も得られる。


照明では、室内全体をアンビエント照明で控えめに照らし、作業面はタスク照明を用いてテラスという方法をとって、照明用のポールをたてることなく全体をやわらかく照らしている。開館時間は5時までで、日が出ているうちなのでほとんど自然光だけなのだそう。



天井はできるだけ薄くしたかったらしく、空調なども取り付けず、屋根は人工芝を採用している。
雨漏りしないように微妙な勾配がある。天窓の部分も持ち上げてある。

屋根全体

エッヂ部分
学部の図書館ということで、席数、冊数などは多いとは言えなかったが、やわらかにあかるく、周囲の自然、建築をうまくとりこみ心地よい場になっているように感じた。実際に見学者ではなく、利用者としてではないと、本当の居心地はわからないかもしれないが、利用者の気分になって見学することは大事だと感じた。学部四年大瀧
図書館と広場と周辺校舎