2014/08/03

TBWA HAKUHODO 見学会 議事録 02


5月16日に見学したTBWA/HAKUHODOのレポート続編

高橋スタジオOBの藤田さんが設計したフロアについて公開します。
タイムリーですが、先日この作品が第27回日経ニューオフィス賞 関東ニューオフィス奨励賞を受賞しました。おめでとうございます。

藤田さんのプロジェクトは本社の別館の一階と、ビルの最上階になります
一階はかつて吉村靖孝建築設計事務所に勤めていた頃に担当した空間で、最上階の方は独立後の作品になります。

この建物は以前"ジュリアナ東京"という伝説のディスコがあった場所で、建築として希有な経歴を持っています。


一階のロビーは外部の光が入る間口は無く、天高にゆとりのある空間になっていて
人を出迎える気配があるインテリアと空間感が見て取れました。



自然光が入らないため、無機質な雰囲気があるこの空間では工夫が施されている。

照明の装置には時間に呼応した色が変化するプログラムがくまれている。
又、照明装置をフィルタリングする硝子板の面積が広く、一枚一枚はものすごく大きい。
理想的な光を通す為にガラスの板は無色透明ではなく、薄いピンク色の板に半透明のガラスをサンドしていて、ダイナミックなマテリアルに繊細な操作をしています。

写真に映ってるミラーボールから以前の面影が垣間見えます。





外部関係者や、社内の人々の話し合いにも使われるベンチとテーブル
会社であることを忘れる様な雰囲気です。





カウンターはバーの様なお洒落な風貌。ここからもディスコという系譜が辿れます。



つい新聞を読んでいるところを撮られました。




エレベーター(の前)ホールが本棚とソファ
前回レポートしたフロアにもありましたが、ここのオフィスにはリラクゼーションスペースが随所にあり、そういった要素がこの会社の特色の一つだなと感じます。






---------------------ここから最上階の9階へあがります---------------------






エレベーターで9階まで上がると、出てすぐのホールでは豆電球が柔らかく灯っていました。





見蕩れています。



セキュリティゲートを通って中へ入ると、目に留まったのがサンドバック
リラックスだけでなくトレーニングさえできるのかと、驚きました。
写真手前で会議をしている人がいつつサンドバックに向かって拳を当てている人がいるところを想像すると笑っちゃいます。




このフロアの空間は建築として最小限の佇まいを残し、必要以上の意匠は施されていないように感じました。空調設備があり、照明があって、間仕切りになる壁と。そこに簡易的に可動できるテーブル。

仕事をするのにはちょうど良い簡素さが漂っていました。




この階は外部と接続する間口が廊下一面にあり、高い場所から田町が展望できます。
南向きなので日中は暖かい光が入ってくると思います。
個人的に一階のホワイエとのコントラストが印象的なところです。

またこのフロアでは開口-共有廊下-各室という連続にも注目を寄せられます。
僕が思う従来のオフィスというのは(外側)窓側に部屋が寄っていて、共有廊下は内側にあるか、あるいはそのフロア全体を区切ることをせず一体的にしていて移動するための動線はフロアの中に埋め込まれているものだと考えるからです。

"このフロアを使う人全員が窓の先の景色を観賞することができる"というのはオフィスとしてすごく珍しい気がして、個人的にすごく面白いと思いました。






この階もdatailが興味深かったです。
梁の下に間仕切り壁が設置されている部分の写真

荒く削られた梁と奇麗に密着することなく、近接しているところにはいろんな隙間があり、壁の向こうの光が漏れています。

大胆な操作になっているけれど、こういった仕上がりは「あくまで建築が建った瞬間からこの場所がTBWA/HAKUHODO/QUANTAMの会社ではなかった」事を再認識させてくれる要素になる気がしています。


建物としての記憶を遺すことにつながるからなのか
感覚的ですが、それは、この場所を使う人にとって大事な事の様に思います。




見学した時間軸的にずれますが、一階にて集合写真をとりました。



この日藤田さんと一緒に社内を案内して下さった東海さんは、写真撮影が大好きだとおしゃっられ、これが本日三枚目です。思い出になります。


お忙しいところ長い時間ご紹介して頂き、ありがとうございました。



TBWA/HAKUHODOはオフィスという既成概念を崩して、全くの新しいあり方を示したものでした。
"オフィス"という建築のプログラムのそれまでにに囚われていた先入観が完全に崩れて、とても面白かったです。


見学のあとには田町の駅前で藤田さん囲い、懇親会をしました。
僕は藤田さんから先輩の学生時代や現在の活動等、いろんな話を聞くことができ、その内容も貴重でした。設計の事でも悩んでた部分を相談をして、実はその時聞いた話が前期の課題では大変助けになりました。

最後まで充実した一日でした。

藤田さんとお邪魔したTBWA/HAKUHODOの東海さん並びに社員のみなさまにはご多幸あります様、陰ながら祈っています。

大学では前期を終えました。夏休みを経て後期にはいよいよ卒業設計が始まります。自分も今後の活動に向けて元気よく励んでいこうと思います。


吉澤でした。