この日は「木造とこれからのまち」というお題で、木造が街に寄与するモノや、そのためにはどのような事が必要となるのか、など幅広く議論が行われました。
登壇者は以下の通りです。
晴海地区チーム
久原裕(Studio Kuhara Yagi/team Timberize)
八木敦司(Studio Kuhara Yagi/team Timberize)
蜂屋景二(bbr)
内海彩(KUS/team Timberize)
長崎辰哉(アトリエハレトケ)
篠崎正彦(東洋大学理工学部准教授)
100の木造建築出展者
江村 哲哉(アラップ)
長谷部勉(H.A.S.Market)
安田博道(環境デザイン・アトリエ)
柳澤潤(コンテンポラリーズ)
田口知子(田口知子建築設計事務所)
遠藤克彦(遠藤克彦建築研究所)
(※敬称略、順不同)
まずは、teamTimberize理事長である腰原幹雄さんが登場。
この展覧会の趣旨を説明しました。
1964年、東京オリンピックの開催をきっかけに都市が発展し、現在の東京を支えてきた。50年たった今、東京は転換期を迎えている。Timberize TOKYO 2020展は、2020年までにやれること、また2020年後のことを「木」という視点から考えなおそうという試みである。
teamTimberize理事長、腰原幹雄さん |
その次に晴海地区を担当した方々がそれぞれの作品ついて説明をしました。
Timberizeメンバーによるプレゼン |
その後、100の木造建築出展者の方々が展覧会の感想や、木造について考えることなどを語っていただきました。
その中から一部、お話の内容を紹介します。
柳澤さん
大学で教鞭をとっていて、3.11の影響か木造の構造に進む学生が増えていると感じる。学生たちは木造の可塑性や変様性の魅力に気付き始めているのではないか。
さらに、展覧会の構成に関しても、Timberizeのヴィジョンはわかるが、例えば木を使うことで具体的にCO2がどのくらい減少するのかやRCなどとの比較論があったほうがいいのではないか、構成論ばかりになってはいないか。
安田さん
技術者たちは新しい技術や素材を使いたがるが、汎用性や流通性が重要である。例えば、住宅などを新しい技術で造ろうとすればコストがかかる。ある程度、規格化された材を積極的に使用し、もっと踏み込んだ提案ができれば新たな汎用性が生まれるのでは。
長谷部さん
今回出展した100の木造建築の模型の住宅は在来軸組工法だった。在来軸組工法の良さは、全国どこにいても大工さんがいれば建てることが出来るということ。新しい技術で建てようとするとどうしてもコストが高くなってしまう。アトリエ天工人(テクト)の山下保博さんが阪神淡路大震災をきっかけに設立したProject1000というプロジェクトの一つとして参加した。1000万円代で住宅を建てるということを目指した。木造を実現させていくことが重要である。
そして、最後にフリートークが行われました。
その一部を、紹介します。
「木造は住宅建築を中心に使われるが、都市木造を実現させるためには今後どんな問題があるのか?」
久原さん
都市木造や大型木造を実現させるためには、まずふさわしい規格が必要となる。木造に鉄骨やRCのような大きな規模の規格がない。ただその反面、木には加工性や柔軟性といった鉄骨などにはない特徴がある。必ずしも規格化するだけがいいわけではないが、Timberizeとしては、その規格がどういうサイズのものなのか、どういうものが適切なのかを示すことをしていきたい。
「2020年に向けてどうあるべきか?」
遠藤さん
建築の学校教育の中で、流通材を使って建築をつくる工法的なアプローチが足りないと感じている。実は、建築のデザインは経済の中にあるという気持ちが足りない。これを学校で教えることは、人材が少ないということもあり難しい。だが、まず知識としてこういったベースがまずあるべきで、これは建築界全体の問題である。Timberizeの活動は、2020年や将来に向けて良いきかっけになるのでは。
以上が一部ですがトークセッションの内容でした。
今回のトークセッションを公聴し終え、今考えること、それは日本における木造建築の大きな特徴として、そもそも多くの建物が「木」でつくられていたこと。つまりそれは、違う見方をすれば木造には生産や流通の基盤が既にしっかりあるということ。この利点を見直し、さらに利用するという方法に新しさを感じました。
さてさて、このTimberize TOKYO 2020展ですが、9/24(水)より新木場タワー18階レセプションルームでの展覧会がスタートします!
スパイラルでの展示を見逃した方など、ぜひお立ち寄りください。
以上、M1鈴木のレポートでした!!
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