ゼミ旅行最終日の三日目に伊東豊雄さん設計の台湾大学社会科学部棟を見学した。
台湾大学の既存の校舎が手狭となったため、キャンパス内の芝生広場に新たに社会科学部棟が建設されることになり、伊東豊雄事務所が設計を行った。
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図書館外観 |
この建築は二棟に分かれており、八層の教室、研究室、会議室を中心とした棟と低層の図書館棟である。
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中央:高層棟 右下:図書館棟 |
高層棟はグリッド構造を基礎とし、大きな吹き抜けやボイドを使って開放的な場所がつくられていた。武蔵美の八号館が巨大になりヴォイドが増えたような印象を個人的に感じた。
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高層階からのヴォイド |
次に、一階で接続している、この建築のシンボルとなる図書館棟である。規則的なフラクタル図形のような「静的」なデザインではなく、植物が場所を選んで生えてくるような「動的」なデザインとすべく、ヒマワリの種の並びのような植物の成長アルゴリズムである、逆方向スパイラルが採用されているとのこと。
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スパイラスによりきめられた疎と密による本棚の配置
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図書館内部 |
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図書館内部 |
夏休みということもあり、利用している学生が少なく実際にどのように使われているのか見るとこが出来ず残念である。スパイラルを連結すると、柱が密にある場所が三つでき、疎と密になっているところができ、場所の違いがうまれる。柱と屋根が一体となった構造体が寄り添い、大小の屋根が連なる。柱が密の場所では小さな屋根が連なり、スパイラルの中心から離れると大きな屋根になっていく。わずかな滞在時間ではあったが実際に行くと、柱の疎密や屋根の大小を確認することはできたが、本棚によって人の動きや居場所が決まっているように感じた。屋根のレベルを変えたりするとそれによる居場所感がでやすいのかもしれないが、デザイン的に恰好が悪いかもしれない。
視覚的には広い平面だが、柱の疎密などで、まさに動的は印象をうけ興味深い空間であった。
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竹でできたチェア |
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竹でできた本棚の断面 とてもなめらか |
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竹でできた椅子 |
空調には、床下に冷水を流してその輻射熱で室内を穏やかに冷やす輻射冷房が採用されている。この規模での利用は台湾初だそう。
ダクトを天井に這わせることを避けるだけでなく、省エネ効果も得られる。
照明では、室内全体をアンビエント照明で控えめに照らし、作業面はタスク照明を用いてテラスという方法をとって、照明用のポールをたてることなく全体をやわらかく照らしている。開館時間は5時までで、日が出ているうちなのでほとんど自然光だけなのだそう。
天井はできるだけ薄くしたかったらしく、空調なども取り付けず、屋根は人工芝を採用している。
雨漏りしないように微妙な勾配がある。天窓の部分も持ち上げてある。
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屋根全体 |
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エッヂ部分 |
学部の図書館ということで、席数、冊数などは多いとは言えなかったが、やわらかにあかるく、周囲の自然、建築をうまくとりこみ心地よい場になっているように感じた。実際に見学者ではなく、利用者としてではないと、本当の居心地はわからないかもしれないが、利用者の気分になって見学することは大事だと感じた。学部四年大瀧
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図書館と広場と周辺校舎 |
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